イベニティ皮下注105mgシリンジ
国内副作用報告の集積状況及び適正使用のお願い
(収集期間:2019年3月4日~2021年3月7日)

1.2 低カルシウム血症

 販売開始(2019年3月4日)から2021年3月7日までに、186例186件の低カルシウム血症関連の副作用が報告されました。このうち、重篤な副作用は「低カルシウム血症」、「血中カルシウム減少」、及び「低カルシウム血症性痙攣」の12例12件でした。非重篤な低カルシウム血症関連の副作用は「血中カルシウム減少」及び「低カルシウム血症」でした。
 出荷数量から算定した推定累積投与患者数*を用い、販売開始から1年間、販売開始1年後から1年間、及び販売開始から2年間における曝露期間で調整した100人年あたりの低カルシウム血症関連副作用の報告率を算出しました(表2)。なお、製造販売後において収集された有害事象情報は自発報告であり、臨床試験からの情報とは異なり本剤を処方されている患者の背景因子が異なること、実際に本剤を投与された累積投与患者数を正確に把握することは困難であるため、本剤の出荷数量から算定した推定投与患者数を使用していることにご留意ください。

販売開始から1年間:2019年3月4日~2020年3月7日
販売開始1年後から1年間:2020年3月8日~2021年3月7日
販売開始から2年間:2019年3月4日~2021年3月7日
低カルシウム血症関連事象は、当社で定める定義「低カルシウム血症AMQ」MedDRA ver.23.1を使用して抽出した。

*出荷数量から算定した推定累積投与患者数(人年)
販売開始から1年間(2019年3月~2020年2月):39349.9人年
販売開始1年後から1年間(2020年3月~2021年2月):48065.9人年
販売開始から2年間(2019年3月~2021年2月):87415.8人年
推定累積投与患者数(人年)は、投与開始した患者が標準的な投与量で1年間投与継続したと仮定した場合の推定の患者数です。

【留意して頂きたい事項】

 添付文書の「禁忌」、「重要な基本的注意」、「特定の背景を有する患者に関する注意」及び「重大な副作用」に低カルシウム血症に関する注意が記載されています。また、医療従事者向けRMP資材「イベニティの適正使用について」において、低カルシウム血症の対策が記載されています。

① 添付文書の記載
イベニティ皮下注105mgシリンジ添付文書(抜粋)(2020年8月改訂、第1版)

2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)

2.2 低カルシウム血症の患者 [低カルシウム血症が悪化するおそれがある][8.1、8.2、9.2.1、11.1.1参照]

8. 重要な基本的注意

8.1 低カルシウム血症やマグネシウム、intact-PTH等の骨・ミネラル代謝異常がある場合には、本剤投与前にあらかじめ治療すること。[2.2、8.2、9.2.1、11.1.1参照]

8.2 本剤投与中は適切なカルシウム及びビタミンDの補給を行うこと。本剤投与後に血清カルシウム値が低下する可能性があるので、低カルシウム血症の徴候や症状がないか観察し、血清カルシウム値に注意すること。なお、臨床試験では、本剤投与後2週間から1ヵ月の時点で血清カルシウム値の低下が認められている。[2.2、8.1、9.2.1、11.1.1参照]

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.2 腎機能障害患者

9.2.1 重度の腎機能障害患者(eGFRが30mL/min/1.73m2未満)あるいは透析を受けている患者

低カルシウム血症が発現しやすい。[2.2、8.1、8.2、11.1.1参照]

11.1 重大な副作用

11.1.1 低カルシウム血症(頻度不明)

QT延長、痙攣、テタニー、しびれ、失見当識等を伴う低カルシウム血症があらわれることがある。低カルシウム血症が認められた場合には、カルシウム及びビタミンDの補充に加えて、緊急時には、カルシウムの点滴投与を併用するなど、適切な処置を速やかに行うこと。[2.2、8.1、8.2、9.2.1参照]

② RMP医療従事者向け資材「イベニティの適正使用について」の記載
イベニティ皮下注105mgシリンジ「イベニティの適正使用について」(抜粋)(2020年8月印刷)

低カルシウム血症の対策

[注意が必要な患者]

◆ 重度の腎機能障害患者(eGFRが30mL/min/1.73m2未満)あるいは透析を受けている患者

◆ 低カルシウム血症やマグネシウム、intact-PTHなどの骨・ミネラル代謝異常が認められる患者

イベニティ投与前に低カルシウム血症やマグネシウム、intact-PTHなどの骨・ミネラル代謝異常がみられる場合は、あらかじめ治療を行ってください。
イベニティ投与中は低カルシウム血症の治療や予防の観点から適切なカルシウムおよびビタミンDの補給を行ってください。
イベニティ投与後に血清カルシウム値が低下する可能性があるため、低カルシウム血症の徴候や症状がないか観察し、血清カルシウム値に注意してください。低カルシウム血症が認められた場合には、カルシウムおよびビタミンDの補充に加えて、緊急時には、カルシウムの点滴投与を併用するなど、適切な処置を速やかに行ってください。

ROM214001IS9(2023年3月作成)