イベニティ皮下注105mgシリンジ
国内副作用報告の集積状況及び適正使用のお願い
(収集期間:2019年3月4日~2021年3月7日)

2.3 非定型大腿骨骨折

 販売開始(2019年3月4日)から2021年3月7日までに、8例8件の非定型大腿骨骨折関連の副作用(骨折に至った原因が不明の大腿骨骨折を含む)が報告され、いずれも重篤な副作用でした。
 出荷数量から算定した推定累積投与患者数*を用い、販売開始から1年間、販売開始1年後から1年間、及び販売開始から2年間における曝露期間で調整した100人年あたりの非定型大腿骨骨折関連副作用の報告率を算出しました(表5)。なお、製造販売後において収集された有害事象情報は自発報告であり、臨床試験からの情報とは異なり本剤を処方されている患者の背景因子が異なること、実際に本剤を投与された累積投与患者数を正確に把握することは困難であるため、本剤の出荷数量から算定した推定投与患者数を使用していることにご留意ください。

販売開始から1年間:2019年3月4日~2020年3月7日
販売開始1年後から1年間:2020年3月8日~2021年3月7日
販売開始から2年間:2019年3月4日~2021年3月7日
非定型大腿骨骨折関連事象は、当社で定める定義「非定型大腿骨骨折AMQ」MedDRA ver.23.1を使用して抽出した。骨折に至った原因が不明の「大腿骨骨折」を含む。

*出荷数量から算定した推定累積投与患者数(人年)
販売開始から1年間(2019年3月~2020年2月):39349.9人年
販売開始1年後から1年間(2020年3月~2021年2月):48065.9人年
販売開始から2年間(2019年3月~2021年2月):87415.8人年
推定累積投与患者数(人年)は、投与開始した患者が標準的な投与量で1年間投与継続したと仮定した場合の推定の患者数です。

【留意して頂きたい事項】

 添付文書の「重要な基本的注意」及び「重大な副作用」に非定型大腿骨骨折に関する注意が記載されています。また、医療従事者向けRMP資材「イベニティの適正使用について」において、非定型大腿骨骨折の対策が記載されています。

① 添付文書の記載
イベニティ皮下注105mgシリンジ添付文書(抜粋)(2020年8月改訂、第1版)

8. 重要な基本的注意

8.6 骨吸収抑制作用を有するビスホスホネート系薬剤を長期使用している患者において、非外傷性の大腿骨転子下及び近位大腿骨骨幹部の非定型骨折が発現したとの報告がある。これらの報告では、完全骨折が起こる数週間から数ヵ月前に大腿部や鼠径部等において前駆痛が認められている報告もあることから、このような症状が認められた場合には、X線検査等を行い、適切な処置を行うこと。また、両側性の骨折が生じる可能性があることから、片側で非定型骨折が起きた場合には、反対側の大腿骨の症状等を確認し、X線検査を行うなど、慎重に観察すること。X線検査時には骨皮質の肥厚等、特徴的な画像所見がみられており、そのような場合には適切な処置を行うこと。[11.1.3参照]

11.1 重大な副作用

11.1.3 大腿骨転子下及び近位大腿骨骨幹部の非定型骨折(頻度不明)[8.6参照]

② RMP医療従事者向け資材「イベニティの適正使用について」の記載
イベニティ皮下注105mgシリンジ「イベニティの適正使用について」(抜粋)(2020年8月印刷)

非定型大腿骨骨折の対策

[注意が必要な患者]

◆ 大腿部や鼠径部などに疼痛がある患者

◆ 片側に非定型骨折を起こした患者

ビスホスホネート薬を長期使用している患者において報告された、非外傷性の大腿骨転子下および近位大腿骨骨幹部の非定型骨折では、完全骨折が起こる数週間前から数ヵ月前に大腿部や鼠径部などに前駆痛が認められています。このような症状が認められた場合には、X線検査などを行い、適切な処置を行ってください。
両側性の骨折が生じる可能性があるため、片側で非定型骨折が起きた場合には、反対側の大腿骨の症状などを確認し、X線検査を行うなど、慎重に観察してください。
X線検査時には骨皮質の肥厚など、特徴的な画像所見がみられており、そのような場合には適切な処置を行ってください。

ROM214001IS9(2023年3月作成)